「僕にとってのブルーオーシャンは料理だった」──92万人がフォローする料理クリエイター 経塚翼さん × 明石ガクト 対談(前編)

「Creators Community Journal (CCJ) 」では、ワンメディア代表の明石ガクトと、第一線でチャレンジするクリエイターやブランドのキーパーソンを招いた対談を定期的に発信しています。
数多くいる料理系インフルエンサーの中でも、真似しやすい「簡単ダイエットレシピ」ジャンルで、TikTok のフォロワーが約52万人、Instagram では約40万人のフォロワーを誇る人物がいます。それが2021年1月から活動をスタートさせた“会社員料理男子” 経塚翼(きょうづか つばさ)さんです。
9月30日には、初のレシピ本『経塚翼のうますぎッ!太らないごはん』(KADOKAWA)を発売。「料理は苦手だった」会社員の経塚さんが、どのように料理系クリエイターを目指し、ファンとつながり、そして独立することになったのか。代表の明石がひもといていきます。
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目次
コーヒーが飲めないのにコーヒーチェーン店に就職人を楽しませることができればなんでもよかった独立後のリラックスタイムはほぼゼロ。だけど充実「本の出版」というマイルストーンをファンと共有できた| PROFILE
コーヒーが飲めないのにコーヒーチェーン店に就職

明石
経塚さんはじめまして。動画を通してお顔は知っていたんですけど、こうやってお会いできるとなると緊張します。
経塚さん
僕のほうが緊張してます(笑)以前僕がTwitter でビジネス寄りの発信をしていた時に、ガクトさんが出ているYouTube を見て参考にしていたので。
明石
そう言っていただけて光栄です。今日は経塚さんがクリエイターになったきっかけとか、色々と話していければと思うんですけど、今目の前に置いてある本が…すごいらしいっすね(笑)Amazon ランキングでも激戦の「簡単レシピ」ジャンルで1位になって、噂によると重版も決定したとか。
経塚さん初のレシピ本。完全リモートワーカーの著者がリアルに痩せた、食べ応えがあるのに太らないレシピ。初心者でも失敗しない、手軽さも魅力です
経塚さん
はい…そうですね(笑)でも初めての本なので、あんまりすごいラインとかわからないんですよね。
明石
「レシピ本を出版することが夢だった」とお聞きしてるんですけど、どういう経緯があったんですか?
経塚さん
今の目標として「男性の料理系インフルエンサーで1番になりたい」というのがあって、その通過点としてレシピ本の出版っていうのは、必須だったんですね。今後活動していく上でも、名詞代わりとしてすごく強いアイテムだなと思っていたので、達成できて嬉しかったですね。
明石
料理系のインフルエンサーって、どこかのお店でシェフをやられていた方が多数派かなと思うんですけど、経塚さんもそうだったりするんですか?
経塚さん
いえ、経験はまったくないんです。なんだったら料理もそこまで得意じゃなくて。親戚の多くが飲食業に就いていたので、興味はあったんですけど、親からは「将来のことも考えるとやめといた方がいい」と反対されてました。まあジャンルとしては興味があったから、最初に「タリーズコーヒー」に普通に就職したんですね。ただ、僕コーヒーが苦手で。
明石
なんで入っちゃったんですか(笑)
経塚さん
味をチェックするために毎朝コーヒーを無理やり飲んでいたら、精神的にもキツくなっちゃって。これはやばいなと思って、後先考えず辞めちゃって、何をしようかとネットを見ていたら、「プログラミングを身につけるのが良い」という記事を見ました。そこからプログラミングを覚えて、Web 制作をしてたんですけど、こっちはこっちで全然面白くなくて(笑)そこで、目立つことが好きだったこともあって、並行してエンジニアに関する発信活動みたいなのをSNS で始めたんです。
人を楽しませることができればなんでもよかった

明石 なるほど。具体的にどういう内容のことを?
経塚さん
「全くのプログラム未経験からでもエンジニアになれます」みたいな話です。あと、以前面接に200社ぐらい落ちた経験がありまして、その過程とか面接の内容も書いていたらめちゃくちゃ共感が集まってフォロワーさんが増えました。ちなみに「ドンゾコ(どん底)」っていうアカウント名で書いてました(笑)そこから、長く続けるなら好きな分野の発信にしようっていうことで、徐々に料理コンテンツに変更していった形ですね。
明石
「ドンゾコ」ってインパクトある名前ですね(笑)料理の発信をはじめたのははTikTok からなんですか?それとも他のSNS から?
経塚さん
Instagram が最初ですね。もちろんそれだけではダメだから、動画系もはじめようと思って。調べたらレシピ系はYouTube だと後発組だったけど、TikTok だとまだ後発ではなかったんです。これなら僕でもいけると思って、TikTok 一本に絞ってリソースを割いてました。
30秒ダイエットクッキングがコンセプトの経塚さんの料理動画。簡単に作れるお手軽レシピと、物腰柔らかなナレーションが人気。
明石
一族に飲食業をやっている人が多くて、でも自分はそうじゃなくてエンジニアになって、でもまたレシピという飲食部類に戻ってきてバズりだす…っていうストーリーがエモくていいですよね。
経塚さん
本当は人を楽しませることができれば、正直職業とかなんでもよかったんですよ。かといって、お笑い芸人になるとか、エンタメ系のクリエイターになるのはレッドオーシャンかなと感じていて。料理のクリエイターって、みんな結構真面目に作っていて、見せ方も似ていて、見てる人も「音は出さない」とか言ってたんですよね。有益性のところだけ席が埋まっているんだったら、自分のおちゃらけたキャラクターを活かせたら、差別化にもなるんじゃないかなと。
明石
なるほどね。面接を受けてはダメだった時にPDCA を回していた経験が、いまのSNS での分析力に繋がってるのかもしれないですね。
経塚さん
そうですね。それはあると思います。僕は言語化苦手なんですけど、ガクトさんの表現通りだと思います(笑)
独立後のリラックスタイムはほぼゼロ。だけど充実

明石
今年4月に今まで働いていた会社を辞められて、“フルタイムクリエイター” として独立されたということなんですけど。
僕が以前会社辞めて自分で会社立ち上げる時は、めちゃくちゃ勇気がいったんですよ。30歳までに絶対独立すると決めてたから、29歳で半ばタイムリミット的に勢いで辞めてしまった感じで。逆に、経塚さんの退職までの意思決定のプロセスを聞きたいです。
経塚さん
ずっとクリエイター1本でいきたいなっていう思いはあったんです。あと、性格的に1個のことしかできなかったので、仕事の途中にSNS 投稿するようになっちゃって。フルリモートだったし、このままだと、どんどん会社に迷惑かけてしまうなということで独立しました。ちょうど辞める直前ぐらいから、いろんな出版社から声がかかっていたので、クリエイターとして結構認知されてきているし、まあ大丈夫なんじゃないかという楽観的な考えもありつつ。
明石
会社員じゃなくなると、いろんなところで違いが出てくると思うんですよ。1日の時間の使い方とか、住む場所とかも。その辺りってどういう風に変わりましたか。
経塚さん
まず「働いてる」って感覚がなくなりましたね。起きる時間も自由だし、好きな時に何してもいいっていうのはあるんですが、たまに「恐怖」も襲ってきて。会社員だったらサボっても、最悪ある程度の給料は入ってくるじゃないですか。でもフリーになると、サボった分だけ自分の生活、将来に直結するっていうところが現実的だなと。
明石
確かにそれは僕も独立した当初に思ったことかもしれない。こんな見た目なんですけど、結構真面目で臆病なタイプなんですね(笑)だからしばらくは朝7時半から夜11時ぐらいまで働いていて。なんかやってないと落ち着かないみたいな。でもクリエイターって、かけた時間分だけコンテンツのクオリティに直結するわけでもないというか、バランスが難しいと思うんですよね。
経塚さん
そうですね。時間のバランスはめちゃくちゃ難しいですね。僕、SNS に来たコメントとか全部返すんですけど、一度開いちゃうと、いろんな人のをずっとチェックしちゃう(笑)その辺の時間管理、切り替えは課題ではありますね。
明石
今インプットとアウトプット、プラスで「リラックスタイム」を分類すると、比率はどうなりますか?
経塚さん
インプット4割、アウトプット6割ぐらいですね。リラックスはほぼないです(笑)オン・オフがなくなるっていうのも、独立することの特徴ですね。
「本の出版」というマイルストーンをファンと共有できた

明石
経塚さんは今TikTok とかSNS が主戦場じゃないですか。それってフローコンテンツとして流れていくもので、一方「本」っていうのは究極のストックコンテンツのようなポジションだと思うんですね。僕も『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』を発売してから5年ぐらい経ってるけど、「あれを読んでクリエイターになりました」「あれを読んで会社やりました」みたいな話を未だにされるんですよ。実際本を出版されてファンの声も届いてる時期かなって思うんですけど、リアクションの違いって感じています?
経塚さん
まだそこまでは感じてはないんですけど、SNS は僕の中で、知ってもらう入口みたいなところ、いわばフロントエンドみたいなところで…
明石
さすがエンジニアやっていただけある例え方ですね(笑)
経塚さん
よく使ってしまいます(笑)なので、もっとコアな体験をしてもらうために、オンラインサロンのようなコミュニティを作りたいなとは思ってますね。
明石
SNS で「本出ます!」と宣伝した時のファンのコメントとかどうだったんですか?
経塚さん
もちろん喜んでもらえましたし、「いつも経塚さんは料理以外の部分が楽しい」っていう意見が多くて、それは他のレシピ系のクリエイターと差別化できているんだなと思って嬉しかったです。
明石
その“一味違う” 活動のストーリーを見続けてきたファンの人にとって、本の出版は互いのマイルストーンになりますよね。
経塚さん
ストーリーに共感してもらえるのが、料理褒められるより嬉しいですね。
まだまだ話は続きます。対談の後半では、経塚さんのユニークな投稿コンテンツについて掘り下げていきます。
👉後編に続く
| PROFILE

経塚翼
サラリーマン時代に発信活動を開始。その後面倒くさがりでもできる「ダイエットレシピ」でフォロワーが増え、現在TikTok フォロワー52.5万人、Instagram フォロワー39.9万人(2022年11月7日時点)。初の著書に『うますぎッ!太らないごはん』(KADOKAWA )
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